大正生まれの人間にとっては、敗戦後の日本の世相の変わり様には、ただ唖然としてしまうことばかりだ。  アメリカの政策で一人一人の個性を尊重することになり、親が娘や息子を一方的に従わせることは出来なくなった。親子関係も友だち関係に近づき、「親の権威」で子の監督をする理由が見つからなくなったのだ。  昔あったような家族の一体性は望めなくなり、これまでの家族像と呼ばれるものは無くなってしまった。

また、地球上は、果てしない紛争や戦争が各地で行われているばかりでなく、テロ、飢餓、過食、酒乱、不倫、嫉妬、怒りが渦巻いている。残虐な殺人事件は続き、少年までが簡単に劇画のように人を殺す。もう、収拾のつかない状態になってしまったようだ。

二、三日前の新聞に藤本義一氏の孫(小四)が「なんで戦争なんかするのやろか。なんで戦争を止めることが出来んかったやろか。まず、戦争を知ってる人が戦争を止めんといかんのやな」と、感想を述べた話を読み、戦争をしっかりと見てきた私は責められたように思った。

そして、私は、世界中の人々が仏教を学びお釈迦様の言葉に触れてほしいと思った。
「怨みには怨みもてかえさず、怨みは許すことによってのみ諍いを絶つことができるのだ」とか、「何処を探しても自己より愛しき者はない、同様に、他の人々もそれぞれ自己は愛しい、故に、自己を愛する者は他人を害してはいけない」と云われる法句経を特に読んで欲しいと思う。

いつどこで誰が聞いても尤もだと思うお釈迦様のお言葉をみんなに聞かせたい。人間の形をしている全世界の人々の感性に訴えたいと思う。