この「不生不滅」は般若心経に出てくる言葉であるが、ずいぶん以前から気になるものであった。人間の立場から見れば、生ずることもあり、また滅することもある。何故こんな言葉があるのか全く不思議であった。般若心経の解説書のこの部分を読んでみても、難しくてなかなか判らない。正確に伝えようとすれば難しい説明(解説)になってしまうのではないか、と思ってしまう。

しかし、余語老師の話されたものから総合的に考えてみると、不生不滅は無の世界或いは無限の世界(これを仏性というのだろうか)の立場から見れば、生じたり滅したりするのはその流れのなかにある。無限の世界のなかにある。

我々人間の立場から見たり考えたりしたのでは「不生不滅」は理解できないものである、と考えるのが適切なのだろうか。しかし、解説書に難しく書いてあるのも、もっと深い意味があるものと思はれる。

「不生不滅」に限らず仏教の教えをこんなふうに考えたり、思ったりするのは浅はかなのだろうか。その教えは底知れず深く無限の世界であるから、すべて判るものではないようだが。無の世界は説明のできるものではないようだが、肌で感知するものなのだろうか。