(金成先生から原稿の代わりにということで表題の文章を託されました。人間、死際には徒な延命治療は御免蒙りたいところですが、そんな時にはこんな手紙を用意しておくと有効だと友人から貰ったそうです。重い命題ですが、以下に抄録します。)

私はこれまでの人生を、私なりに一生懸命生きてきました。ここに私の人生が終るとしても、決して悔いはありません。

今、私は意識を失う様な状態に陥っていると思います。或いは呼びかけに応じているかも知れませんが、意識は朦朧としていると思います。ということは、わたしは今自分の力では水も飲めないし、食べ物も食べられないでしょう。自分で呼吸が出来ない状態にあり、人工呼吸により呼吸をしているのかも知れません。

繰り返しますが、私は今、私の人生が終るとしても決して悔いはありません。ですから、もし人工呼吸をつけてから四十八時間経っても、私の自発呼吸が戻らなかったら、人工呼吸をはずして下さい。たとえ自発呼吸がある場合でも、もし意識を失ったり、朦朧となってから四十八時間たっても意識が戻らなかったり朦朧状態が続いていたら、点滴も栄養補給もやめて下さい。もし私が苦しがっている様に見えるならば、その状態を緩和して頂ける治療は喜んでお受けします。ただし、昇圧薬や脳圧低下剤のどの、延命のための治療はやめて下さい。

今、私の命を永らえるために努力をして下さっている、お医者さん、看護婦さんやその他の病院スタッフの皆様にも、心から感謝しています。せっかく努力して下さっている皆様には大変申し訳ありませんが、どうか私の願いを聞いて下さい。決して悔いはありませんので、お願い致します。