寄稿文 ブッダの教えと高齢者 菊地

私は昨年喜寿を迎えることができました。生まれ故郷で同期生に会ったり地元の氏神様(白瀧神社)で祈祷してもらったりして楽しいひとときを過ごしました。次回は傘寿のお祝いでみんな元気で逢いましょうと誓い別れました。生まれ故郷はいつも暖かく迎えてくれます。亡くなられた同期生もたくさんいましたが懐かしい友達に会えてとても元気を貰いました。

日本は、高齢化社会を迎え、どこの病院に行ってもお年寄りだらけです。私も昨年は二度入院をしました。現在はペースメーカーを入れた身体障害者です。又、膝の三月板を損傷し歩行が困難です。いろいろ病気をして教えられた事は、病気になる前の予防が大切ではないかと言うことです。なにか起こってからでは遅いのです。毎日の生活をどう過ごしたらいいか考える必要があります。

私はブッダの教えを実行し、残された人生を楽しく健康で過ごしたいと思っております。余語老師がいつも言っておられました。お任せの気持ちで生きなさいと。日本では高齢者の四人に一人がこれから認知症にかかると言われています。認知症は生活習慣病と言われていますので日常の運動、食事、ストレスの軽減が大切です。毎日の散歩はとても効果があるそうです。できれば散歩しながら数を数えたり、しりとりをしたりと、運動しながら脳も一緒に活性化することが必要だといわれています。

私は認知症予防運動「コグニサイズ」を地域のみなさんと毎週二回行っています。食事ではお肉よりも魚中心に野菜を多く取るように心がけています。国立長寿研究所の先生は、カレイライスに含まれているターメリックが脳に貯まるアミロイドベータを溶かす役割があると言っています。ターメリックは日本名ウコンとして知られ、生ウコンを蜂蜜につけて食べるととても美味しく効果があるそうです。

ストレスを軽減することも大切です。一人で閉じこもらないで同年輩の人たちとふれあうことが、認知症予防に効果的と言われています。認知症は加齢とともに発症する病気で四十代五十代から既に始まっているそうです。認知症に効く薬は現在まだありませんので、認知症にかからない生活をして認知症の発症を遅らせるしか方法がなさそうです。わいわい皆で旅行を楽しむ翆風講旅行会なども効果的ではないでしょうか。今年は皆さんでどこか旅行をして楽しみませんか?

一昨年私は老人クラブの副会長を経験しました。老人クラブで感じたことは、お年寄りは長年の経験に固執し現状維持を保とうとします。考えの違った人との交流をやりたがらない傾向にあります。気の合うお友達とだけ行動し、それ以外は仲間に入れたがりません。とくに意見が違う人にたいしてはいじめをしがちです。最近のお年寄りを見ていると他を思いやる気持ちが少ないように思います。昔はお寺で仏心を学びましたが、現在のお寺はその役割をしていません。住職は高級車を乗り回し、奥様は茶髪で普通の人と変わりません。ブータンでは考えられない光景です。

ブータンのお坊さんはブッダの教えを生涯まもり、人々の幸せのため頑張っています。ブータンのお坊さんは小さいときからお寺で修行し、体でお釈迦様の教えが身についているのではないでしょうか。頭で教える教育ではなく、体で体験する教育がこれからは大切だと感じています。ブータンの幼稚園、小学校では人間が生きていく為に必要なことを繰り返し教えています。頭で考える前に体に染み込ませるのです。小さいときに体で教わったことは大きくなっても忘れないと思います。最近の日本は高齢者が住みにくい環境になって来ているのではないでしょうか。高齢者の餓死や、犯罪を犯して刑務所で暮らしたいと希望する高齢者が増えていると聞きます。お互いが助け合って暮らす社会の実現にはブッダの教えがとても大切ではないかと思っています。

翠風講ニュースレター第40号