寄稿文 コロナ後の世界 菊地豊

今年は、新型コロナの影響で新春総参拝が中止になりました。現在も新型コロナ渦の拡大で外出を控えています。新型コロナのパンデミックがいつ終息するのか先が見えない今日この頃ですが、歴史から見てみると新型コロナ渦はいつか終息に向かうでしょう。

新型コロナのパンデミックのお陰でいろいろなことに気付かされました。

一つは、日本の食料事情の問題です。日本の食糧自給自足率は三十八%と言われています。いろいろな食べ物が世界各国から輸入され自国の生産が低下しているのです。新型コロナのパンデミックに直面している世界各国は、グローバル社会から自国優先社会に変わりつつあります。世界の国々が自国優先で食料の輸出を禁止した場合、日本は食料危機に直面するでしょう。せめて主食のお米を自給自足率百%に上げたいものです。食は人を良くすると書きます。人間にとって食の安全、安心は大切な課題です。

二つ目は、国民の意識改革が必要だと言われています。我々は、誰かがやってくれるから安心だと思っています。健康についても社会保障や医療がしっかりしているので安心しきっています。しかし新型コロナのパンデミックに直面していろいろな問題点が見つかりました。次の大きなパンデミックが起こる前にいろいろ考えておかなければならないと思います。この機会に健康問題や環境問題についても真剣に考える必要がありそうです。私は、ウイルスに打ち勝つ免疫を高める健康体を目指しています。最近は大きな災害が各地で起こっています。地球環境が変わったからだと言われています。地球環境を変えたのは人間で、環境問題を皆でもっと考える必要がありそうです。

三つ目は、日本人が忘れてしまった「一即一切」「一切即一」の考え方です。仏教用語でひとつの存在とすべての存在がご縁でつながっているという意味だそうです。 ご縁とは縁起とも言い、あらゆる物事が結び付き、互いに支えあい、助け合っていることを言うそうです。私は、今一度日本人が忘れてしまった「和の精神」を子供たちに教える必要があると考えております。小さいときから仏教哲学を学ぶ機会を与える必要があると思います。

コロナ渦の影響でいろいろな移動が制限されています。働き方も変わりつつあります。会社ではテレワークが増え、家族が一緒に過ごす時間が増えました。家族が一緒に食事をする機会が増え、家族の幸せとは何だろうかと考える機会が増えたと思っています。ブータンでは、家族が一緒に食事を食べられることが一番幸せだといいます。幸せとは自分のもっているもので満足することだとも言っています。家族の幸せは、地域の幸せ、日本の幸せにつながっています。「幸せとは何だろうか」をブータンのGNH(国民総幸福)から学んでいます。

日本人は世界に誇れる民族と言われています。それは、シルクロードを渡ってギリシャ哲学、仏教哲学が日本に伝来し、その精神が日本国民に根づいているからだと言われています。しかし戦後の教育で社会が変ってしまいました。私はブータンを訪れる度に、日本のように戦争という劇的変化がなかったブータンに、戦前の日本の生活が残っていると感じでいます。ブータンも変わって来ましたがまだ学ぶところはあります。コロナに負けないで頑張りましょう。