2度目のブータン旅行|ブータンに魅せられて 菊地豊|翠風講ニュースレター第26号 平成25年(2013)1月発行

寄稿文 ブータンに魅せられて 菊地豊

平成22年(2010)10月2度目のブータンへ小松さん、大石さんと旅行しました。平成22年1月に訪れた時は未知の国へ訪れる不安と期待でかなり緊張しましたが二度目はふるさとに帰ったような懐かしさで一杯でした。

私がブータンに興味を持ったのはチベット仏教とブータンの前国王が唱えている国民総幸福についてです。全ての国民が毎日幸せに生活していると言える国はあるのでしょうか。ブータンでは96%の人が毎日幸せに生活していると答えているそうです。ブータンの田舎は日本の40数年前と同じです。トイレは外、部屋には、窓ガラスがなく寒風が吹き込んできます。ブータンの人々は標高2300mクラスの山岳地帯で生活しています。日本のような平坦な土地はわずかしかありません。耕作面積も段々畑のように山の斜面を耕して稲や野菜をつくっています。僅かばかりの土地を耕して食料を確保しているのです。毎日の生活で満足に食べられる量は限られていると思います。でも自分たちの生活はここで取れたもので満足して生活しなければいけないと自覚しているのでしょうか。薄暗い台所の炉辺でうずくまって生活していても幸せなのだろうか。食べるものも満足にない生活が幸せと感ずるのでしょうか。さまざまな疑問が浮かび上がります。一回目の訪問から帰るとブータンに関する本を手当たり次第読みました。そして少し分かったことは、ブータン人が幸せに感じるのは物ではなく心の幸せを感じていることです。ブータンは、長い間の鎖国政策で仏教が生活の中に浸透し仏陀の教えを毎日の生活に取り入れて生活しています。

前国王が唱える国民総幸福は、物質面の豊かさより心の豊かさがどの位満足しているのかの度合いかと思います。日本は戦後高度成長を遂げ毎日の生活が豊かになりました。しかし反面親が子供を殺したり、子供が親を殺したり、自殺する人が年々増え続けています。本来ならば物が豊かになると心も豊かになるはずでした。人間はさらによりよい生活を望みお金第一主義になってしまったようです。もっと心の豊かさを見つける努力をしてもいいのではないでしょうか。ブータン人は「幸せを感じる力」「いいところを見つける力」が日本人より強いのではないかと思います。お金がたくさんなくても心から幸せを感じる力が強ければ幸せな生活が出来るのではないでしょうか。

ブータンを訪れて感じたのは人々がとても親切で相手の身になっていろいろしてくれることです。例えばブータンのガイドはとても安い給料です。そして朝早くから夜遅くまでお客の為に働いてくれます。夜は寝袋で休み食事の時は、お客とは同席しません。会社から強制されなくても自分の役割を心得ているようです。日本はマニュアルがなければ何もできません。日本人はマニュアル通り仕事をしていますが心が空っぽになっているのではないでしょうか。「幸せを感じる力」を増やすにはどうしたらいいのでしょうか。何かブッダの教えにヒントがあるような気がしてなりません。

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