風薫る  古川和子

風薫る深き緑の天桂寺

結願の青葉若葉の蹬のぼる

裏山の青き風呼ぶ寺座敷

涼しさや猫の貫禄寺座敷

正座して典座の由来夏座敷

明け易き旅の一夜や桂川

涼し夜の旅寝に生死談議など

晩涼の露天湯近く星の声
天心に北斗横たふ夏に入る

涼しさや「圓相」掲げ華頭窓

名園のかくれ小滝に鯉の群れ

緑濃き奥の藁屋の古刹かな

仏像のみなかがやきて寺若葉

水鉢の「吾唯足知」文字涼しかり

六月の「翠風」の旅なつかしき