府中刑務所文化祭顛末記   関根章雄

十一月三日、今まで地元にいながら一度も見学したことのない府中刑務所の見学会に家内と二人で出かけた。今年で三十六回になる府中刑務所文化祭。午前十時開門の二十分ほど前に到着したが、もうすでに五百人以上の人が並んでいる始末。開門と同時に一目散に「塀の中のバスツァー」(午前定員四百五十人)の列に駆けつけて並んだのだが、午前の分は我々の前二十人ほどのところで打ち切られてしまった。安部譲治ならぬ「塀の外の懲りない面々」がこれほど多いとは思いもよらなかった。

あとは午後一時からの受付(二百七十人定員)を待つしかなかった。家内と相談の結果、とにかく、催し会場を見てから早めに再び列に並ぼうと決めた。この日は、一日所長として女優の島崎和歌子さんが来ており、教誨師をはじめとして、いろいろな部署の功労者の表彰式が特設のメイン会場ステージで行われて、一人一人彼女の手から表彰状を受け取っていた。

一方、展示即売のコーナーでは、木工家具調度品(タンス、机、イス、屏風、すだれ、畳など)、衣類、雑貨、御みこし、陶器、文具、靴、各種食品と多彩で、他の刑務所(甲府、長野、岐阜、名古屋、札幌・・・)の受刑者の作品も同じに並んで販売されていた。我々は早めに昼食用のフランクフルトと中華マンを買って十一時三十分にツアーの列に並んだ。すでに百人くらいの人が並んでいた。

午後の受付は一時から始まり、我々の乗るバス(護送用)は二時出発であった。出発はバス五台(一号車―五号車)が順次、ほぼ同時に出発した。係員の説明によると、ここの広さは東京ドームの約六倍で、受刑者の作業する各種工場、住居棟、巨大な厨房、自動車整備工場、金属金型の工場、グランド、耕作用の畑などがあり、ゆっくりと内部施設の中を一巡した。ここの受刑者は懲役刑のみで、再犯者が多いということであった。現在の受刑者は二千九百人位だそうだ。

ともあれ、別世界を垣間見た一日であった。