大雄山と私 菊地 豊

大雄山と私 菊地 豊

私が余語翠巖山主様と初めてお会いしたのは平成元年の夏頃でした。当時黄檗宗の故奥田老師から仏教を学んでいましたが、東京へ転勤になり坐禅が出来るお寺を探していました。私の仕事仲間である故八田氏に誘われて余語山主様の法話を聞きに大雄山に行ったのが最初の出会いです。その後度々お山に登り、又夏期禅学会にも参加し、余語老師とのご縁も深まりました。平成二年に余語老師に得度してもらいました。あれから既に二十五年経ちました。まだまだ仏教について詳しく知りませんが、余語老師の出会いがなければ今日の私はなかったと思います。

翠風講とのご縁は、余語山主様にお会いしてから一年後夏期禅学会で平井さん、石井さん、小松さんにお会いしてからです。翠風講との出会いも二十五年になります。現在愛知県に移り住んでおり、小田原の大雄山にお参りする機会がめっきり少なくなりましたが、これからも大雄山とのご縁を大切にしたいと思っております。

最近年に一、二回ブータンを訪れていますが、ブータン仏教についてブータンのツアーガイドから教えてもらう機会が時々あります。

ブータンと日本の仏教の違いはたくさんありますが、一番の違いはブータン仏教は国教になっていることです。ブータンにはネパール人、インド人など様々な人種が住んでいますが宗教も様々です。ブータンの取引先の社員もヒンズー教を信仰している人、仏教徒もおりますが皆仲良く働いております。宗教の違いでいがみ合うことはなさそうです。多分仏教もヒンズー教も多神教だからでしょうか。

昨年オグロ鶴の里と知られているポブジカの谷を訪れ農家に民泊しました。ブータンの農家の人達は大きな家に住んでいますが、一階は家畜小屋、二階が家族の住まいになっています。二階で一番いい部屋は仏間で大きな仏壇があります。(写真下)日本の仏壇には先祖の位牌がありますがブータンではお釈迦様を中心に仏像が置かれています。毎朝当主がバターランプをともしお経を唱えているそうです。年に一度家族や親戚を呼んで盛大に先祖供養が行われるそうです。

ブータンのお寺をお参りする時は、まず最初に開山和尚に三拝、そして正面に安置されているお釈迦様に三拝します。お布施をおいて僧侶から聖水を右手に頂き飲み干します。お寺はブータン人の神聖な祈りの場で写真撮影が禁止されています。

ブータンは世界で一番幸せな国と言われています。ブータンを度々訪れて感じていることは何が幸せと感じているのかよく分かりません。 田舎に行くととても貧しく食事も赤米とおかず二品位しかありません。暖房も乏しくお風呂もありません。お風呂はドツォと呼ばれる石を焼いてお風呂にいれ温め薬草を入れて入浴します。お湯はぬるく冬は風邪をひきそうです。お風呂も一週間に一度位しか入らないそうです。 しかし不満は聞いたことがなく家族皆が揃って過ごせるのが最高に幸せだと言っています。

ブータンには養老院がありません。介護施設もありません。年取ったら子供達や地域の人達が面倒をみているそうです。伯父さん伯母さん従兄弟など一緒に生活している家庭もあり十数人の大世帯もあります。

サラリーマンの勤務時間は八時三十分から夏は五時半、冬は四時半で帰宅します。土曜日は半日で日曜日はお休みです。就業時間が来ると全員帰宅し誰も残業はしません。勤務中でも家族の用事があれば同僚に仕事を頼み帰宅します。昼休みに自宅に帰り昼食を食べてからまた会社に来る人もいます。かならず一時間の昼食時間を取るそうです。会社よりも自分たちの家族が大切だと言っています。日本と随分違った勤務体制ですが出来るだけ家族と一緒にいる時間を優先しているからだそうです。羨ましい限りです。家族と過ごす時間が多ければ幸せだと感じているようです。

ブータンはなにもないけれども全てがあるような気がします。今年も幸せを探しにブータンを訪れたいと思っています。