マジック修行 石井重夫

『また 来てね!』このひと言を耳にするたびに「私のマジック修行!?」は ますます力が入ってきます。マジックの出演が「坐禅の日曜日」と重なった場合には、この頃は「マジックの出演」を優先するようになってしまいました。演技がウマくても マズくても 喜んでもらって 拍手を受けたときは実に快いものです。体調を考えて「六十の手習い」で始めた「マジック」も、この 九月で八年目に入ります。「よく 続いたな~」と我ながらビックリしています。レパートリーも増え、出演の機会が多くなりました。お年寄りの施設・少年スポーツクラブ・お寺の祭り・防犯セミナー・ハンディ キャップを持った方々の集い・敬老の日のセレモニー・区の福祉大会 等々地域のさまざまなイベントに、月二~三回 声を掛けられるようになりました。もちろん、ボランティアです。中高年の男女二~三名がチームを組んで出かけていきます。これもまた「楽しい交流」です。舞台で「テ
ンガロン ハット」を冠り、胸に「 星☆」をつけた「西部の保安官」
に変身すると、私は 人格が変わってしまったようになります。「西
部の保安官」スタイルを介して お客さんや関係者など誰とでもニコニコと交流できるから不思議なものです。

「マジック」に取り組んでいてつくづく思うのはーーー私たちの日常が「習慣・先入観」という「思い込み」の連続によって成り立っている面が多いのに気づかされることです。「マジック」では その「思い込み」のひとつをハッキリと意識して利用し、お客さんと「だます・だまされる」を楽しんでいるわけです。
「マジック」には 日頃の練習が欠かせないので、出演日が近づくと「マジック修行!?」の日が続くようになります。「マジック」は 今や私の『安心』になくてはならない『世界』なのです。こういう心境になれたのも『坐禅の世界』に長らく接して来て「納得できる教え」に出会えたお蔭では!?と受けとめています。例えばーーー 道元禅師が典座教訓のなかで「坐禅をすることと食事をつくることを同じ価値」とお示しになった教え。余語老師が「世にありとあらゆるもの、無駄事は一つもない……そこに 存立するということにおいて無駄でない……」(普勧坐禅儀のこころ)と強調された教えーーーこれらの教えをあらためて噛みしめることによって「私のマジック修行!?」も更に力が入るというものです。

合掌