ブータンを訪れて(その三) 菊地 豊

1月7日からブータンを訪れてきました。昨年一月訪れて以来一年振りのブータン旅行です。バンコクに一泊し昨年からブータンに就航したブータン航空に搭乗しました。ブータン航空が就航したのでバンコクからは一日二、三便飛んでおりブータン旅行が大変便利になりました。

ブータン航空の乗務員はブータン人一人を除いてヨーロッパ人が乗務しております。ブータンに行くのにヨーロッパの雰囲気で二時間三十分の飛行を楽しみました。今年の三月からは、日本人、インド人、タイ人、ヨーロッパ人などの混成チームでサービスをするそうです。今まで国営航空ドゥルック航空が独占していたブータンの空の旅ですが、ブータン航空が就航してグローバル化が進み競争が激しくなりそうです。旅行者には有りがたいニュースです。

今回の旅で一番印象に残っているのは中央ブータン・トンサ県で4日間行われたお祭り見学です。トンサは初代国王のふるさとでトンサから現王室がスタートした場所です。トンサゾンでのお祭りは観光客も少なく身近にお祭りを見ることができました。殆ど地元の人達が踊っているそうで、部落全員で祭りに参加している様子が印象的でした。トンサで2日間お祭りを見学したのですが、お祭りの内容は仏教に関するもので、例えば閻魔様が生前良い行いをしたか悪い行いをしたかによって地獄と天国行きに分れる物語は、半日にわたり演じられました。誰しも良い行いをしなければいけないと感じているみたいです。物語の合間に女性のコーラス、男性のフォークダンスと続き、見あきることは有りませんでした。お祭りを通して仏教の教えを学ぶのがブータンの年に一度の行事です。

トンサから首都ティンプーに向かう途中プナカの農村でNPO法人リードブータン(Read Bhutan)が運営するリード・センターを訪れました。リードブータンは、草の根から地域社会を元気にしようと、あらゆる年代のブータン人により多くの教育、就労の機会を与えることをめざし日々活動している団体です。リードブータンに日本の絵本を寄贈したらどうかと思い友人に話したところ、飛騨市教育委員会から数冊の絵本を頂きました。日本の民話英語版数冊と一緒に寄贈したところ大変よろこばれました。八十%のブータン人は地方に暮らしており、四十%は電気のない生活をしているそうです。美しい山々からなる景観と豊かな文化を持つブータンは、世界中の旅行者を魅了していますが、地方に暮らす人々は、情報から遮断された貧しい生活を送っているそうです。ブータンの子供たちに何かできることがないか考えております。

首都ティンプーの近代化が進むと同時にいろいろな問題が持ち上がっております。ごみの問題、子供たちの教育の問題、医療の問題など沢山の問題を抱えているそうです。特に地方から出てきた若い人達は、働く場所が少ないので麻薬に手を出したり観光客からお金を盗んだり、信じられないことですがレープ事件など多発しているそうです。幸せ大国ブータンと報道されていますが、現実はかなり違っています。グローバル化が進んでだれもが物欲に走りだしているようです。

最後にブータンの観光事情ですが、日本からの観光客は二〇一二年は七〇〇〇人とアメリカを抜いてトップでしたが、昨年は一位アメリカ、二位中国、三位日本と、中国に抜かれてしまいました。今回の旅行で特に目立ったのは中国人とタイからの観光客でした。中国の存在がますます大きくなっているブータンです。中国からの安い衣料や電化製品などがお店に溢れています。経済も人の動きもインドから中国へ移行しつつあるのが現状です。ブータン人はお金を落としてくれたらどの国の人でも大歓迎と言っていました。