日々断片(その35) 小松 勝治

『寝正月の記』

昭和二十九年に他界した明治十一年生まれの祖父は『果報は寝て待て』というのが口癖で歳のせいもあるのでしょうが早寝早起きの人でした。昭和二十年の敗戦の年、日本海の庄内地方にもB29が爆撃にきた。最上川の河口に日和山公園という北に鳥海山、西に日本海の彼方に>飛島を借景にした公園が有った。松の小枝を切りおろし砲台を据え>て当たらない大砲を打ったのでB29の攻撃を何回か受けた、女子供と祖父の十二人家族は灯火管制が敷かれ空襲警報発令となると屋敷奥の大工の父の作業場に作った防空壕に家族十一人は避難した、そんなときも祖父は『果報は寝て待て』とばかり防空壕には入らず座敷に寝ていた。今にして思えば祖父の考えは防空壕にいても座敷にいても爆撃を受ければ同じと考えていたのかもしれません。後に解ったことで>すが、ささくれだったソフトボール大の鉄片が防空壕の傍に落ちていた。防空壕や祖父の寝室を直撃されずにすんだ。

敗戦の年とはすべて条件は違うが、この年末年始に風邪をひてい外出はドクターストップになった。年末年始八日間寝正月をした。風邪をひいているとは言え一室に籠もり上げ膳末え膳で思いがけず殿様気分を味わった。兵庫県から遊びに来た孫には一日早く帰ってもらって悪いことをした。個人衛生の悪さ加減を反省することしきりの正月で有った。今年も連日報道される大藏村肘折温泉のそば通り、雪の庄内平野に墓参帰省の予定である。 2017/1/15

『恩讐の彼方にを読むの記』

寝正月をよいことにして、布団から首だけ出して少年のころ菩提寺で幻灯機を使って『あおの洞門』としてお坊さんがみせてくれたことなどを思い出しながら、四十頁程の文庫本を寝ながら読んだ、クライマックスは最後の一ページで、市九郎の後の了海和尚は仇の実之助に人命救助の洞窟が出来上がり「いざ、実之助殿、約束の日じゃ、お斬りなされい」とせまるのだが実之助は了海の前に手を拱いて座ったまま涙にむせんでいるばかりで有った。以下省略。現講元がまとめている赤とんぼの二〇〇〇年九月発行のニュースレター創刊号に「恨みには恨みもてかえさず」の一文を武田定子さんが執筆されております。年末年始に菊池寛の『恩讐の彼方に』を読んで色々なことを考えさせられました。今回はインデックスを片手に先輩諸氏が執筆して呉れた、玉稿を再読する機会を前講元と現講元が期せずして良い環境を作って呉れたと感謝しております。あとはタブレットを鞄に忍ばせておけばいつでもどこでも『翆風だより』『翆風講ニュースレター』を再読することができます。文明の利器はありがたいものです。2017/1/15

『続一月の詩歌を味わうの記』

特別なことは何もせずに新年を迎えるようになって久しい。ただのものぐさである。<松立てずしめかざりせず餅つかずかかる家にも春はる来にけり〉 元政法師。日ごろと変化のない正月もそれなりに味がある。ー以上昨年の元旦の天声人語冒頭の言葉。私の家でも一昨年まで作っていたおせちの重箱は作るのをやめた。しめ飾りは近所で頂いた餅藁が有ったので今年も自家製である。おせちをやめたことについて昨年同様、後ろめたい気持ちもありましたが、昨年の元旦の天声人語のこの句を思いだしてほっと一息、まあいいか?。と云ったところです。だけどからかいと八頭だけは造った。十三日の「歌会始めの儀」今年のお題は『野』。印象に残った歌一首 <夏野菜今しか出せない色がある僕には出せない茄子の紫> 新潟県杉本 陽香里さん(十七)今年は茄子の収穫時にこの歌を思い出しそうです。来年の題は「語」。「現代学生百人一首」第三〇回東洋大学編は累計約一三〇万首の一首 〈選挙権始めて投票してみたがまだ、私には早かったみたい〉 福島の十八歳渡辺智広さん、早くなんてないから、次もその次もぜひ投票してください。天声人語子のコメント、同感です。十五日の天声人語から。そして我らが翆風講のかって余語山主の頃にに大雄山の歌の講師の一首〈小春日の師の忌を修し 深睡り〉清月。ニュースレター小松第二号平成十三年一月発行。翆巌老師忌にと題して古川和子氏。二千五百年以上前の中国・最古の詩集・詩経にいわく。『詩は志のゆく所なり。心に在るこを志と為し。言に発するを詩と為す。』以上四詩は十七文字又は三十一文字ははそれぞれの心に在ることがよく伝わってくる。わたくしのこころに漢方薬のようにジワート伝わって来ます。そしてそれが元気の素なります。各地で大雪の降った大学入試センター試験の翌日。今年も福寿草がきざし兆し始めた日。2017/1/16記。

『大般若六百巻の内十一巻奉納の記』

平成二十六年九月から平成二十九年にかけて、皆さまのご協力により、大般若六百巻の内十一巻を奉納させていただきました。尚この大般若六百巻は今日もお山の御真殿で転読されていることを思うと大変あり難いご縁を結ばせて頂きただ感謝の毎日です。

『大般若六百巻の内十一巻 平成二十九年 翆風講 奉納表』

NO。《経典番号》 申込氏名(敬称略)(表示氏名・敬称略)

一.《百三十一》 高橋 勝    (勝)

二.《百三十二》 田辺 州雄   (定子)

三.《百三十三》 古川 和子  (和子)

四.《百三十四》 大石 楠美  (正浩)

五. 《百三十五》 石井 重夫  (重夫)

六. 《百三十六》 小松 勝治  (勝治)

七. 《百三十七》 武田 崇   (崇)

八. 《百三十八》 星 一二   (一二)

九. 《百三十九》 鈴木 茂善  (茂善)

一〇. 《百四十》 古川つゆ  (つゆ )

一一. 《五百六十一》 小松勝治  (勝治)

 

平成元年に五十巻奉納し今回の十一巻で計翆風講として六十一巻奉納致しました。(下の写真はその一部)次回は三十年に一回として平成六十年(二〇四八)頃に>私は生きていれば一〇九歳です。今回次回分として翆風講を代表して五百六十一を今書いています。三十年後も講としてどなたかが三十九巻まとめていただくと年代は違いますが大般若六百巻の内百巻奉納で六分の一となり時代を超えて語り次ぎいつの世か全六百巻達成も夢ではない気がいたします。すぐ大きな夢を見たがる癖が出たところでペンをおきます。尚《百三十一》から《百四十》は平成二十六年に奉納済です。《五百六十一》は今年の夏期禅学会迄に奉納予定です。

翆風講写経推進係 小松   2017/1/12