禅の道 第ニ号 藤田彦三郎

禅の道  第二号   藤田 彦三郎  昭和45年10月10日

去月23日彼岸の中日に家内の妹が亡くなり月日の経つのは早いもので三回忌法要が札幌の親元で厳粛に相営まれ家内とお焼香に行ってきました。

それでこの三回忌法要をお彼岸に営まれました法縁を土台にしてこれからどれだけ続くか分かりませんが出来得る限り佛教即ち釈迦無尼佛のお教えを日本の曹洞宗(開祖道元禅師)を通じて若い世代の方々の為め「禅の道」を書いて行き度いと思います。皆様の御参考になれば誠に幸で御座いますと同時に私の修行の為め努力致し度いと思います故何卒よろしく御願い申し上げます。

佛教では現実の社会人生を生死の世界つまり泣いたり笑ったり喜んだり悲しんだりして居るこの世を此岸にたとえ佛の智慧すなわち徹底的に空にしてゆこうというその智慧の力をもって彼岸即ち向こう岸に度ろうという事を表した行事がお彼岸であります。それで彼岸とは申すまでもなく悟りの世界で又涅槃とも申します。

それですから死んでから彼岸の世界に行くのでなくて現在の迷い苦しんで居る私が悟りの喜悦の私に生まれかわろうと言うお教えが「摩訶般若波羅密多心経」でございます。このお経は佛教各宗で一番読経せられて居る事と存じます。

摩訶  ー大いなる或いは畢竟
般若  ー佛の智慧で私達が頭で考える智慧ではありません
波羅密多ー彼岸に至る
心経  ー心髄とか要と云う意味で心と云う意味ではありません。経は釈迦無尼佛が云われた御教
翻訳者 ー今から1300余年以前に中国の玄奘三蔵法師に依る訳本が一番用いられて居ります。