伝統を引き継ぐ 菊地豊

先日能楽、狂言、歌舞伎が一緒になって古典歌舞伎を演ずる講演会がありました。日本の伝統芸能である能楽、狂言、歌舞伎が一緒になって演ずるのは初めての試みだそうです。「日本の伝統を引き継ぐ会」が主催する講演会で、日本の伝統文化を鑑賞してもらい、子供達が日本の伝統文化に興味を持ってもらう事が目的だそうです。日本の伝統文化に興味を持つことにより、伝統文化が引き継がれ体験することによって、日本のこころを学ぶ機会が増えると言っていました。

能楽、狂言、歌舞伎も長い歴史があり素晴らしい伝統文化です。しかし、日本の伝統文化に触れる機会は年々少なくなりました。特に子供達は、日本の伝統文化より西洋文化に興味を持ち、教育現場でも西洋文化を優先して教えてきました。その為日本の伝統文化はいつしか忘れ去られてしまいました。戦後日本人は、日本の伝統文化を捨て自由なアメリカンカルチャーに走ってしまいました。 戦後七十年が過ぎ私達の環境は一変してしまいました。子が親を殺し、母親が子供を殺す時代になってしまいました。人間の死に対する考え方も変わってしまいました。ゲーム感覚で人を殺してしまいます。何が原因でこのような社会になってしまったのでしょうか。

私は、昭和の始め日本はどうだったのか昭和初期に活躍した小津安二郎監督の映画を鑑賞することにしました。小津監督の映画は、すべて家族の営みをテーマにしています。確かに昔も今も変わらない家族の営みが続いています。しかし、昭和初期は今より親子関係の絆が強かったように思います。他人を愛し大切にする気持ちが強かった様に思います。小津監督の作品を見て、家族の大切さと思いやりのこころを感じ取ることができました。私達は、昭和初期のような生活には戻れないけれど、昭和初期の家族の営みから何かをつかむことができるような気がします。

私は茶道を習っていますが、茶道では一服のお茶をお客様に差し上げるために日々のお稽古があるのだと教わりました。お茶を点てる所作はお茶一服を差し上げる為のもので、大切なのは心だと教えられました。所作も大変大切ですが、心のない所作は茶道ではないと教わりました。お稽古で教わる所作は一服のお茶をお客様に差し上げる為に必要な所作で、所作を磨くことによって心が磨かれるのだと言われています。

私は、毎日の所作を教えてくれるのが仏教の教えだと思います。仏教の教えを毎日実行することにより、心が磨かれて生き方が変わってくるのではないでしょうか。仏教も日本の伝統文化も現代に続いています。しかし戦後の日本は、自由を優先し日本人が受け継いできた伝統を忘れてしまいました。もう一度原点にもどって考える必要が有るような気がします。

詳細はニュースレター第34号を御覧ください。